PR

『双極性障害』と『双極性感情障害』の違いとは?症状・治療・支援制度まで|アラ還ナースの解説

森の中で光を浴びている男性 こころの話
スポンサーリンク

こんにちは、アラ還ナースのごんです😊

最近、「双極性障害(双極性感情障害)」が有名人の体験談などで取り上げられることが増え、私たちの身近な話題となっています👥

皆さんが考える以上に、「双極性障害(双極性感情障害)」の方は、私たちの身近に多く存在します。

多くの働く人の職場で、健康問題を一緒に向き合ってきた経験から、今回は「双極症(双極性障害)」について解説します✏️

この記事では、「双極症(双極性障害)」に悩むご本人、ご家族、そして職場の周囲の方へ向けて、
正しい知識とつき合い方のヒント🧩を詳しくお届けします。

この記事は、日本うつ病学会の一般向け資料「双極症とつきあうために」を基に作成しています。
さらに詳しい情報は、日本うつ病学会の公式サイトで是非ご確認ください。


スポンサーリンク

はじめに🌟

光を両手で包み込んでいる

双極症(双極性障害)は、
適切な理解対応があれば、
充実した社会生活を送ることが

可能な疾患です💡

しかし、
「単なる気分の浮き沈み」と軽視されたり、うつ病と混同されたりすることで、
適切な治療が遅れ、重症化するケースも少なくありません⚠️

「双極症(双極性障害)」とは

🌀双極症(双極性障害)」の最大の特徴は、躁状態(または軽躁状態)」と「うつ状態」という相反する気分状態が波のように繰り返されることです

名称について📛

  • 「双極症」「双極性障害」「双極性感情障害」同じ疾患を指す言葉です💡
  • 以前は「躁うつ病」と呼ばれていました
  • 2013年、DSM-5(米国精神医学会による国際診断基準)で「双極性障害」と変更🗓️
  • 2023年のDSM-5-TR2からは「双極症」に変更されました🆕
    ※そのため、ここではわかりやすいように、「双極症(双極性障害)」と表記します。

発症年齢🧍‍♂️

  • 20歳前後が最も多い🧑‍🎓
  • 中学生から高齢者まで発症する可能性がある
  • 男女差はほとんどない👨‍🦰👩‍🦰

「双極症(双極性障害)」の症状

🔺躁状態の主な症状

以下の症状のうち、少なくとも(1)を含む4つ以上
((1)で「怒りっぽい」だけの場合は5つ以上)が、
ほとんど毎日1週間以上続く場合躁状態と診断されます:📌

  1. 気分が良すぎたり、ハイになったり、興奮したり怒りっぽくなり、異常なほどに活力が湧いて長時間活動し続ける
  2. 自分が偉くなったように感じる
  3. 少ししか眠らなくても平気になる
  4. いつもよりおしゃべりになる
  5. 色々な考えが次々と頭に浮かぶ
  6. 注意がそれやすい、気が散りやすい
  7. 周囲の状況を考えずに、無理にやりすぎる
  8. 後で困ったことになるのが明らかなのに、楽しいこと抑えがきかない買いあさり、性的に無分別な行動、ばかげた商売への投資など)に熱中する

🔻軽躁状態の特徴

  • 躁状態より症状は軽いが、明らかに普段とは違う高揚感が4日以上続く
  • エネルギッシュで活動的になる
  • 眠らなくても元気で、機嫌がよい、または怒りっぽくなる
  • 社会的な問題を起こすほどではない
  • 本人も周囲も「調子が良い」と誤解しやすい
  • 病気と気づかれにくく、見過ごされやすい

軽躁状態は、本人も周りの人も「調子が良い」と勘違いしやすいから見過ごされやすいんだね。
軽躁状態に気づいて調子を抑えておくと、うつ状態を予防しやすいよ!

⚫うつ状態の主な症状

以下の症状のうち、少なくとも(1)か(2)のどちらかを含む5つ以上の症状が、ほとんど毎日、2週間以上続く場合、うつ状態と診断されます:📉

  1. ほとんど一日中ゆううつで、沈んだ気持ちになる
  2. ほとんどのことに興味を失い、普段なら楽しくやれていたことも楽しめなくなる
  3. 食欲が低下(または増加)したり、体重が減少(または増加)する
  4. 不眠(寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝早く目が覚める)または過眠
  5. 話し方動作鈍くなる、あるいはイライラして落ち着きがなくなる
  6. 疲れやすいと感じ、気力が低下する
  7. 「自分には価値がない」と感じ、自分を責める
  8. 何かに集中したり、決断を下すことが難しい
  9. この世から消えてしまいたい」「死にたい」などと考える

また、うつ状態では、自律神経の乱れ💧も現れます:

  • のどがかわく
  • 冷や汗をかく
  • 便秘
  • 立ちくらみなど

🚨重要なポイント

  • 躁状態うつ状態周期は人によって大きな違いがあります
  • 数日で切り替わる場合も、数ヶ月同じ状態が続く場合もあります
  • 軽躁状態に早く気づき対応することが、躁状態やうつ状態を防ぐ重要なポイントです

「双極症(双極性障害)」と「うつ病」との違い🧩

「双極症(双極性障害)」うつ病最大の違いは、
双極症では「躁状態」「うつ状態」両方が繰り返し現れるのに対し、
うつ病では「うつ状態」のみが出現することです。

診断の難しさ

  • 「双極症(双極性障害)」の患者さんは初診時にうつ症状だけを訴えることが多い
  • 過去の躁や軽躁状態が見過ごされやすい
  • 正確な診断までには平均で数年かかることもある

💊治療法の違い

  • 双極症気分安定薬抗精神病薬が中心(躁・うつの波をコントロールする)
  • うつ病抗うつ薬が主体(うつをよくする)

「双極症(双極性障害)」の患者さんに抗うつ薬のみを投与すると、
躁状態を誘発する「躁転」のリスクが高まるため注意が必要です。

治療薬は、医師、本人、ご家族がよく話し合いながら、決めることが大切です。
自分の治療を、医師だけにまかせきりにせず、一緒に参加しようね!

「双極症(双極性障害)」の種類

「双極症(双極性障害)」Ⅰ型とⅡ型の2つのタイプに分類され、症状の現れ方や治療方針が異なります。

🔵「双極症(双極性障害)」Ⅰ型の特徴

  • 「完全な躁状態」が特徴
  • 日常生活に重大な支障をきたす激しい症状
  • 判断力の著しい低下破壊的行動
  • 幻覚・妄想などの精神病症状を伴うことがある
  • 入院治療が必要になるケースも多い
  • 事件や事故につながりやすい

🟢「双極症(双極性障害)」Ⅱ型の特徴

  • 「軽躁状態」と呼ばれる比較的軽度の高揚状態が特徴
  • Ⅰ型ほどの激しさはない
  • 長期間続くうつ状態が主な問題になりやすい 

🌀経過について

  • 躁状態は突然始まり、急速に進行する
  • 治療しない場合、躁状態は2~3ヶ月程度続く
  • 軽躁状態やうつ状態は、治療しないと半年以上続くこともある
  • 多くの場合、一生の間に何度も躁とうつを繰り返す
  • 双極症Ⅰ型の方は約3分の1の期間を、Ⅱ型の方は約半分の期間を「うつ状態」で過ごす
  • うつ状態の期間が躁状態より長いため、「うつ病」と間違って診断されることが多い

症状は、個人差が大きいため、医師でもわかりづらいんだね。

日常生活への影響🏠👩‍💼

「双極症(双極性障害)」は、職場や家庭において深刻な影響を及ぼすことがあります
気分の波が激しいため、安定した生活リズムを保つことが難しくなります。

💼職場での影響

  • 躁の時期:仕事を過剰に引き受ける、強引な言動人間関係が悪化
  • うつの時期集中力が落ち、遅刻欠勤が増加、業務効率の低下

🏡家庭での影響

  • 躁の時期:金銭的なトラブル言い争いが増加、衝動的な決断
  • うつの時期家事育児ができなくなり、引きこもりがちになる

「双極症(双極性障害)」の影響を最小限に抑えるには、本人だけでなく職場や家族の正しい理解協力が不可欠です。

👨‍👩‍👧躁状態中の家族や周囲の対応

  • 患者さんの躁状態に家族も疲れてしまいがち
  • あたたかい気持ちを持つ心のゆとりがなくなりいらだち恐怖を感じることも
  • 暴力的になる場合は、家族の安全を優先する
  • 暴力が繰り返されると信頼関係が崩れる
  • 状態が悪化する前に、入院治療を含めた医学的治療を検討する
  • 本人が受診を拒否する場合には、家族だけでも先に精神科を受診し、問題を一人で抱え込まない

家族だけで抱えるのではなく、周囲のサポートが必要なんだね。

💥うつ状態中の家族や周囲の対応

  • 「頑張って」という励ましは逆効果になることもある
  • まずは休息により心と体をしっかり休めることが大切
  • 気晴らしを勧めるのも症状を悪化させる可能性がある
  • 適度な距離をとり、温かく見守る姿勢が望ましい
  • 自殺を考えるほどうつ状態が悪化した場合は、否定せずに気持ちを聞き、「あなたのことを大切に思っている」ことを伝える緊急で主治医に相談し、家族も一緒に受診する。

原因と発症のメカニズム🧬

「双極症(双極性障害)」の発症には、生物学的要因、遺伝的要因、環境要因が複雑に絡み合っています。

🧠生物学的要因

  • 脳内の神経伝達物質(セレトニン、ドパミン、ノルアドレナリンなど)のバランス異常
  • 複数の要因が複雑に絡み合うことで発症

🧬遺伝的要因

  • 「双極症(双極性障害)」は遺伝の影響を受けやすい精神疾患の一つ
  • 家族(特に親や兄弟姉妹)に双極症の診断歴がある場合はリスクが高まる
  • 遺伝だけで決まるわけではなく、環境要因との組み合わせが関係する
  • 「双極症(双極性障害)」になりやすい遺伝素因の一部は、創造性や知的能力の高さなどプラスの面も持つ

🌪️環境要因とストレスの影響

リスク要因:

  • 家庭内や職場での不安定な人間関係
  • 転職や離婚、引っ越しなどの生活上の急激な変化
  • 過剰な残業や夜勤による生活リズムの乱れ

最初はストレスがきっかけで発症することが多いのですが、
再発を繰り返すストレスがなくても再発するようになります。
再発を予防するために、専門医にできるだけ早く受診しましょう。

「双極症(双極性障害)」の治療方法

「双極症(双極性障害)」を放置すると重症化や再発を繰り返すため、早期の専門医による適切な治療が重要です。

💊薬物療法

🔺躁状態の治療

  • 気分安定薬と抗精神病薬を組み合わせた治療が効果的
  • 副作用が出やすい場合はどちらかだけで治療する場合もある

うつ状態の治療

  • 向精神病薬と気分安定薬を組み合わせるか、どちらか一方で治療
  • 抗うつ薬のみの使用は躁転のリスクがあり慎重に検討

🔁維持期の治療

  • 症状回復後も再発予防のため半年以上は薬物治療を継続
  • 治療終了は主治医とよく相談して決める
  • 自己判断での中止は避ける

💡代表的な治療薬

🌀気分安定薬(気分の波を小さくし安定させる)

  • 炭酸リチウム(リーマス):最も歴史があり効果が確立。躁とうつの両方に効果あり
  • バルプロ酸(デパケン):躁状態の改善、再発予防に効果
  • ラモトリギン(ラミクタール):うつ状態を予防する効果

🧩抗精神病薬

  • オランザピン(ジプレキサ):糖尿病がある場合は使用不可
  • アリピプラゾール(エビリファイ)
  • クエチアピン(セロクエル、ビプレッソ):糖尿病がある場合は使用不可
  • ルラシドン(ラツーダ)

体重が増える場合には、定期的に体重を計ったり、軽い運動🏃‍♂️をしてみましょう!
ごはんパン、麺類だけの食事や、お菓子甘い飲み物が多い場合には、少し減らして、代わりに、豆腐野菜海藻などを増やしてみましょう!

🧘‍♀️心理療法

  • 認知行動療法(CBT)は薬物療法と併用するとより効果的
  • 家族療法も有効(効果的な感情表現や積極的傾聴などのコミュニケーション技術を学ぶ)

🎯心理療法の効果:

  • ネガティブな思考パターンの修正
  • 不適応な行動習慣の見直し
  • 気分の変動に気づく力の向上
  • ストレス対処法の習得
  • 自己理解を深める

🕰️生活リズム調整

自分の状態を知り、生活リズムを整えることが重要です。

重要なポイント

  • 毎日の睡眠や食事、起床時間を一定に保つ
  • 体内時計の安定化を意識する🌅
  • 深夜までの活動や夜勤などを避ける🌙
  • 生活リズムを記録する📒

💡睡眠時間が短くなると躁状態が起きやすくなります。

💡 忙しくても睡眠時間を確保し、生活リズムを一定に保つことが重要です。
  薬物療法と並んで生活リズムの管理治療の柱の一つです。

社会福祉制度の活用🏛️

「双極症(双極性障害)」の方が利用できる様々な社会福祉制度があります。

💰医療費の助成

  • 自立支援医療制度(通院医療費公費負担)
  • 高額療養費制度(入院・外来医療費が高額になった場合の払い戻し)
  • 心身障害者医療費助成制度

💸生活費の支援

  • 生活保護
  • 障害年金
  • 特別障害者手当
  • 特別障害給付金制度
  • 生活福祉資金貸付制度

🏡住居探し

  • 住宅入居等支援事業(居住サポート事業)
  • ハローワークの住居・生活支援窓口

🧑‍🤝‍🧑地域での暮らし

  • 自立訓練(生活訓練)
  • 就労移行支援、就労継続支援
  • 地域活動支援センター
  • 在宅サービス
  • 共同生活援助(グループホーム)
  • 地域移行支援、地域定着支援

💼就労支援

  • ハローワーク(公共職業安定所)
  • 障害者就業・生活支援センター
  • 地域障害者職業センター

経済的な問題などでお困りの場合には、一人で抱え込まず、まずは下記の相談窓口に相談しましょう

  • 医療機関精神保健福祉士またはソーシャルワーカー🩺
  • 地域の保健所・精神保健福祉センター🏢

いろいろな制度があるんだね。
使える制度を使って、つらい時期を乗り越えよう。
ひとりで抱え込まず、相談してみるといいね!

但し、各制度には症状の程度生活状況に応じた適用条件があり、すべての方が一律に利用できるわけではありません。ご自身の状況に合った支援を受けるために、まずは医療機関や地域の相談窓口にご相談をお願いします。

まとめ:「双極症(双極性障害)」と上手に付き合うために📝

二人の人が手をつないでいる写真

双極症(双極性障害)は決して珍しい病気ではなく、適切な理解と対応があれば症状をコントロールしながら社会生活を送ることが可能です。

良好な経過のための3つの柱

  • 治療:精神科専門医による正確な診断と適切な治療
  • 環境調整:周囲の理解とサポート
  • 自己管理:継続的な服薬と定期的な診察

重要なポイント

  • 早期発見と専門医による継続的な治療が必須です
  • 「もう治った」と自己判断で薬をやめる再発リスクが高まります
  • 本人と周囲の方々が双極症(双極性障害)についてよく理解することが大切です

もし自分自身や身近な人に症状がある場合は、早めに精神科専門医を受診しましょう。正しい診断と適切な治療が、その後の人生の質を大きく左右します。

アラ還ナースのごん は、こうした心の問題に悩む皆さんを支えるために、これからも情報発信を続けていきます✨

応援をよろしくお願いいたします🍀

睡眠の話しも書いています。👇

📚この記事は、日本うつ病学会の一般向け資料「双極症とつきあうために」を基に作成しています。
さらに詳しい情報は、日本うつ病学会の公式サイトでご確認ください。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました😊
応援クリックいただけると「アラ還ナースの雑感」の更新の励みになります🍀
⬇️⬇️⬇️
にほんブログ村 健康ブログへ
にほんブログ村